個人投資家の資産運用メモ帳 -お金に働いてもらうために

趣味のプログラミングで集めた過去の株価履歴データを使い、投資/資産運用手法について検証してみます。

ITバブルの崩壊(2000年2月~)

ITバブルの概要

 別名ドットコムバブル。

 バブルがふくらみはじめたのは1995年春頃から?NASDAQが他の米国株価指数と比べて顕著に値上がりをはじめるのは1998年秋頃から。バブルがはじけたのは2000年春頃から。

 インターネットの急速な発展に伴い、IT関連ベンチャーに資金が集中。新興市場の株価を押し上げた。その後、実体のない新興企業が資金を食いつぶして次々と倒産しはじめ、バブルがはじけた。

 NASDAQが2000年2月をピークに大きく値を下げ始めるものの、ダウ・ジョーンズ工業株30種、スタンダード・プアーズ500は2001年8月まで大きく値を下げることなく、むしろ上昇している。ITバブルの影響を直接受けたのはNASDAQのみだったのかもしれない。

 その後、2001年9月に米国同時多発テロが発生。米国本土が攻撃されるという衝撃的なテロ事件であったが、米国株価や世界経済への影響はさほどではなかった。

 ITバブル崩壊後、経済への影響が大きかったのは2001年12月のエンロン破綻である。複雑なデリバティブを駆使して粉飾決算を行い、経営の実体を隠蔽。破綻時の被害を拡大した。破綻時の負債総額がいくらになるのかすらよくわかっていない。最低310億ドルとのことで、当時としては史上最大であった。その後の調査で大手会計事務所アーサー・アンダーセン粉飾決算への関与が判明。企業会計への信頼が揺らいだ結果、2002年3月よりアメリカ株は下落基調となった。

 そのショックがさめない2002年7月、米国通信事業者大手のワールドコムが破綻。負債総額410億ドルでエンロンの破綻負債総額を半年で更新。ここでも粉飾決算が明るみに出た。ダウ30、スタンダードプアーズ500は企業会計不信が表面化した2002年3月から2002年9月の半年で30%以上下落した。

 NASDAQのITバブル崩壊前への株価回復が見え始めた2007年夏にリーマンショック(サブプライムローン危機)が発生。2000年代は金融危機や不安が連鎖発生して株式投資家苦難の10年となった。

 上のような状況であるため、どこまでがITバブルの影響なのかわかりづらくなっているところがあるが、この記事ではNASDAQのピークである2000年2月からリーマンショックによる下落がはじまる2007年5月の7年3か月間をバブル崩壊~回復の期間としてシミュレーションした。

 この一連の期間、日本はバブル崩壊後の「失われた20年」にあたる。米国株がバブルを謳歌する一方で、日経平均株価は低迷。バブル拡大期では一切株価が上がらなかったのに、その後の不景気の影響はしっかり受けていた。

 

バブル拡大期の株価の動き

 日本経済がバブルの後始末に苦戦する中、米国株は1995年4月頃から上昇基調に。NASDAQ指数の値はITバブルのピークとなる2000年2月までの5年弱もの間、複利ベースの年利回り50%で伸びた。

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ITバブル拡大期

シミュレーション期間

 1995年4月~2000年2月(4年10か月)

 

 ※)ITバブルが拡大していく期間

 

グラフにおけるそれぞれの資産価値の推移

・月末の終値でのみ評価。

 日足ではない。

・米国の株価指数は月々の為替レートで円換算。

 ドル評価ではない。

 

シミュレーション期間における各指数のリターン

 NASDAQ: 7.1倍(年利回り50%)

 スタンダードプアーズ500: 3.4倍(年利回り29%)

 ダウ工業株30種:3.0倍(年利回り26%)

 日経225平均: 1.2倍(年利回り3.8%)

 

※)利回りは複利ベースで算出

 

ITバブル崩壊後の値動き

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ITバブル発生後

シミュレーション期間

 2000年2月~2007年5月(7年3か月)

 

 ※)ITバブルが崩壊してからリーマンショック

   始まる直前までの期間

 

グラフにおけるそれぞれの資産価値の推移

・月末の終値でのみ評価。

 日足ではない。

・米国の株価指数は月々の為替レートで円換算。

 ドル評価ではない。

 

シミュレーション期間における各指数のリターン

 NASDAQ: 0.61倍(利回り-6.6%)

 スタンダードプアーズ500: 1.2倍(利回り2.5%)

 ダウ工業株30種:1.5倍(利回り5.6%)

 日経225平均: 0.9倍(利回り-1.4%)

 

※)利回りは複利ベースで算出

 

シミュレーション期間内最大下落率

 NASDAQ: 2000年2月~2002年9月の2年7か月で72.4%下落

 スタンダードプアーズ: 2000年8月~2002年9月の2年1か月で38.7%下落

 ダウ工業株30種: 2002年3月~2002年9月の2年1か月で33.0%下落

 日経225平均: 2000年3月~2003年4月の3年1か月で61.5%下落