個人投資家の資産運用メモ帳 -お金に働いてもらうために

趣味のプログラミングで集めた過去の株価履歴データを使い、投資/資産運用手法について検証してみます。

リスク資産保有比率別の運用シミュレーション

記事の概要

 リスク資産である株の組み入れ比率を変えた資産運用シミュレーションを並べ、それぞれの組み入れ比率で資産価格がどのように推移するか比較してみました。

 

シミュレーションの実施期間は、

(1)2000年1月~2009年12月

 「ITバブル崩壊」、「リーマンショック」と、2回も大きな金融危機が発生

(2)2010年1月~2019年12月

 リーマンショックの後経済が順調に回復

(3)1971年2月~2019年12月

 ドル変動相場以降後から2019年12月までの50年弱

で行ってみました。

 

 長く運用すればするほど、リスク資産の保有比率が高いほどリターンも高くなる傾向にあります。ただし、金融危機が発生すると資産価格の下落もリスク資産の保有比率が高いほど強烈になります。

 まさにハイリスク・ハイリターンとなりますので、ご自身に最適なリスク資産の配分はどの程度なのか判断する際の参考としてください。

 

  グラフの見方、アセットアロケーションの運用条件、運用評価の考え方については、こちらの記事を参考にしてください。

 

 評価はすべて円換算です。米国資産はその時々の為替レートで円に換算されており、ドルベースではないことにご注意ください(円高傾向のときはドル資産のリターンが小さくなり、ドル高傾向の場合はその逆になる)。

myassetの資産配分

 資産における株の配分を10%,30%,50%,70%,90%,100%としたときのそれぞれのケースにおける資産推移をシミュレーションしました。

 株の内訳は、

  ダウ工業株30(米国株) 25%

  ナスダック総合指数(米国株) 25%

  日経225平均(日本株) 50%

でそろえています。

 また、安全資産はすべて円の現金(預金)としています。

 したがって、株の配分が10%のグラフは、以下のような資産構成になっています。

  円現金 90%

  ダウ工業株30(米国株) 2.5%

  ナスダック(米国株) 2.5%

  日経225平均(日本株) 5%

 

■2010年台のシミュレーション

シミュレーション期間 

 2010年1月から2019年12月までの10年間

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 リーマンショックからの復活、東日本大震災アベノミクスなど。

 円安ドル高の進行と株高でnasdaqは円建て換算で5倍に。

 この期間の直後(2020年2月頃)からコロナショックが始まる。

 

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2010年代

 リターンの評価

 株10%: 1.14倍

 株30%: 1.45倍

 株50%: 1.84倍

 株70%: 2.3倍

 株90%: 2.84倍

 株100%: 3.15倍

 

リスクの評価

 株10%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で2.2%下落

 株30%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で6.5%下落

 株50%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で10.9%下落

 株70%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で15.2%下落

 株90%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で19.4%下落

 株100%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で21.5%下落

 

■2000年台のシミュレーション

シミュレーション期間 

 2000年1月から2009年12月までの10年間

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 ITバブル崩壊、米国同時多発テロリーマンショック

 大きな金融危機が2回到来。

 米国資産はリーマンショック発の円高ドル安と株安のダブルパンチ。

 日経平均もダメ。

 nasdaqはITバブルピーク~リーマンショック底までで75%下落。

 株はもうこりごりといいたくなる10年か。

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2000年代

 リターンの評価

 株10%: 0.97倍

 株30%: 0.91倍

 株50%: 0.83倍

 株70%: 0.75倍

 株90%: 0.67倍

 株100%: 0.63倍

 

リスクの評価

 株10%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で7.7%下落

 株30%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で21.7%下落

 株50%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で34.0%下落

 株70%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で44.6%下落

 株90%: 2000-02-29~2009-02-28の3287日間で54.1%下落

 株100%: 2000-02-29~2009-02-28の3287日間で58.6%下落

 

■約50年間まとめてドン

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1971年2月~2019年12月(約49年)

 リターンの評価

 株10%: 1.42倍

 株30%: 2.76倍

 株50%: 5.05倍

 株70%: 8.75倍

 株90%: 14.32倍

 株100%: 17.92倍

 

リスクの評価

 株10%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で7.7%下落

 株30%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で21.7%下落

 株50%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で34.0%下落

 株70%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で44.6%下落

 株90%: 2000-02-29~2009-02-28の3287日間で54.1%下落

 株100%: 2000-02-29~2009-02-28の3287日間で58.6%下落

■総括

株100%で運用した場合、好調だった2010年代、資産は3倍以上に増えています。

一方で2度も大きな金融危機が訪れた2000年代は37%も下落しています。

 

株の組み入れを10%に抑えて運用した場合、好調だった2010年代は14%のリターン、

不景気だった2000年代は3%の下落にとどまっています。

 

残りはそれぞれ両者の中間の騰落になっています。

 

株100%の運用だとITバブルのピークからリーマンショックの底で9年の間に58.6%も下落し、資産価値が半分以下になっています。

さすがに退職金の運用にはきつそうですね。少なくとも私には。。。

 

1971年2月~2019年12月の49年間の長期で見た場合。

株の組み入れ比率が高ければ高いほどリターンも大きくなっています。

下落時のリスクも大きくなっています。

まさにハイリスク・ハイリターンの結果となっています。

株100%配分のときは49年間で17.92倍。福利の年利回りは平均6%強とかなりのパフォーマンスになっています。

 

この結果を見ての私の所感です。

やはり巷間言われているように、長期で運用するお金には仕事をしてもらった方が良い、すなわちリスク資産を一部は組み入れるべきということなのでしょう。

 

そしてこれも多くの人が言っているように、若くて時間のある人はリスク資産の配分を高めにとっても良いのではないかと思います。