個人投資家の資産運用メモ帳 -お金に働いてもらうために

趣味のプログラミングで集めた過去の株価履歴データを使い、投資/資産運用手法について検証してみます。

アセットアロケーションとは

アセットアロケーションとは

  アセットアロケーションとは、保有する資産の種類を国内/外国の株やREIT、債券、現金(預貯金)などの資産に、どのような割合で資産を配分するのかを決め、その割合で運用を続けることをいいます。

 資産を分散する目的は、主に2つ。

 ・リスクとリターンのバランスをとる

 ・リスク資産固有のリスクを複数のリスク資産に分散する

 

 リスクとリターンのバランスは安全資産(現金や国債MMFなど)とリスク資産(株やREITなど)の割合で調整します(※1)。

 過去50年間の株価の推移を俯瞰すると、10年以上の長期運用では、リスク資産の平均リターンが安全資産の平均リターンを大きく上回っています。

 つまり、10年、20年にわたって長期間運用できるのであればリスク資産の割合が多い方がリターンも大きくなると予想されます。

 一方、リスク資産は、金融危機が発生したときに大きく資産価値が下がり、回復に長い時間を要することがあります。退職金の運用などでは回復までの時間を待つ余裕がない場合もあるでしょう。その場合はリスク資産の保有比率を下げ、リスクの低いポートフォリオで運用します。

 これらの資産別指数の推移については、年代別シミュレーションに掲載したグラフをみるとよくわかると思いますので、ぜひ確認してみてください。。

 長く資産運用していると、必ずいつかは金融危機のようなリスク資産が大きく下落する局面にあいます。資産が適切なリスクコントロールの元運用されていれば、時間とともに資産価値は回復し、あらに増やしていくことができますが、信用取引などを使ってリスクを大きくとりすぎてしまうと、1度の失敗ですべてを失ってしまうこともあります。

 アセットアロケーションは、リスクコントロールに優れた運用戦略であり、長期資産運用において必須の知識であると考えます。

 

※1)名目上の数字は減らないので便宜上現金を「安全資産」とよんでいる。インフレが進むと現金は相対的に価値を失うので、現金=安全ということではない。

 

アセットアロケーションの運用方法

 株やREITなどのリスク資産は相場によって日々価格が変わります。

 このため、運用を続けるうちに相場の変動で資産の配分比率が変わっていきます。

 アセットアロケーションでは、適当な頻度(1か月に1回とか3か月に1回とか定期的、もしくは自分が決めた資産比率からのズレが大きくなったときとか)で資産配分比率を一定に保つ補正操作(証券の売買)をします。

 

 以下、簡単な実例を上げて紹介します。

 例えばリスク資産である株と安全資産である現金を半分ずつで運用すると決めた場合。

 株価が値上がりしたら株の配分比率が50%より大きくなってしまいます。そこで、50%を超えた分の株を売却し、最初に決めた通り株と現金の比率を半分半分にもどします。

 逆に株が下がったら相対的に現金の保有比率が高くなるので、不足する分株を買い増します。

 資産配分を一定にすることにより、リスクを抑えつつ、下がったら買い、上がったら売る、を定期的に繰り返すことになります。

 リスクを少なくしたい場合はリスク資産の割合を減らすことで対応します。

 一定比率の資産を現金で残しておくことにより、リスク資産を安く買って高く売る、リスク資産下落時の余裕をもっておくと同時に、リスク資産の成長とともに自身の資産価値を増やしていくことができます。

 

株と現金を半半で運用する場合

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アセットアロケーションのイメージ

 アセットアロケーションでの資産運用は、長期運用が前提となります。

 日々の株価に一喜一憂する必要はありません。ただし、自身のリスク許容度をしっかり把握し、配分する資産の割合を考える必要はあります。運用をはじめてみたものの自分のリスク許容度が違っていたと判断したときは資産配分の割合を見直します。

 また、長期に成長しそうな国の資産配分の割合を増やす、金融危機のリスクが高まったときはリスク資産の割合を減らす、などの変更をすることもあります。

  平時で順調に資産を増やしているときにはつい、リスク資産を増やしたくなるものです。本当に増やしても大丈夫なのか、、、、ぜひリスク資産保有比率別の運用シミュレーション結果を見て慎重に考えてください。

 

配分先として考える資産の種類について

 アセットアロケーションの運用方法の説明では、説明を簡単にするために、現金と株のみに資産を配分する場合で説明しました。実際には、株、REIT、債券、現金、コモディティ価格連動投信(金や石油など)などの複数の資産に分散して運用することができます。

 また、それぞれの資産について、どの国の資産にするかを選ぶことができます。株でいえば、日本株、米国株はじめ、世界各国の株に投資することができます。REIT、現金、債券についても同様です。

 

どんな資産に配分したら良いか

 どの資産に対してどの割合で配分するか、については、個々人の状況や性格によっても変わります。したがって、1つの正解はないのですが、長期運用する資産の場合、少なくとも

 日本円現金(預貯金または国債)、米国株

には配分すべきです。

 年代別の運用シミュレーションの記事を見ていただくとわかるように、

 

1.長い目で見ると株は現金に対して大きく増える

2.1990年のバブル崩壊を境に米国の成長は日本の成長を圧倒し続けている

3.日本で暮らすのであれば円現金が短期的な資産価格の変動に対するリスクを緩和する

  

からです。

 

 1.については、ここでは詳しく触れませんが、資本主義の経済構造そのものの仕組からそうなるので、短期的な(時には10年以上の)リスクはありますが配分すべきです。

 2.については、2020年現在、規模において米国は世界最大の経済大国であり、成長力においても米国優位の状況が30年継続しています。今後の見通しについて考えると、日本で少子高齢化が進む一方、世界最大の市場である米国では2020年現在も人口が増えており、当面米国優位の傾向は変わらないと考えます。

 最も米国経済の成長と着実に同調するのは、ダウ工業株30種、またはスタンダード・プアーズ500です。構成銘柄の数は30社、500社と違いますが、

 ・どちらも米国を代表する企業で構成されるよう設計されている

 ・どちらもあらゆる業種をカバーするよう設計されている

からです。国の経済成長と株価の推移については、GDPと株価の長期推移の比較に掲載したグラフを見るとよくわかると思います。

 これに対し、NASDAQやNASDAQ100(NASDAQ時価総額上位100社で構成)は、アメリカ新興企業向け市場となります。米国経済全体の指標ではありません。

 米国は新興企業の成長力が強く、1971年設定以降、NASDAQの成長力(リターン)は最も高いですが、短期的な値動きも激しくなっています。

 

どんな銘柄を選んだらよいのか

 「株といっても一体何に投資したらよいのか」と思った方は日経225平均やダウ工業株30種平均、スタンダードプアーズ500など、日米の代表的なインデックス指数に連動した投信やETFに配分すると良いでしょう。

 REITについても同様で、日本国内であればJREIT指数、米国であれば米国REIT指数、グローバルであればスタンダードプアーズREIT指数などがあります。

 

 インデックス指数に連動する投信やETFは、

  ・国内金融機関で買え、管理することができる

  ・個別銘柄のリスクが分散されている

  ・長期的には最も着実に(その国の)経済成長に連動する

  ・運用手数料が安い

   →各種アクティブ投信と比較すると運用成績は長期安定的に上位にくる

  ・選びやく管理もしやすい

といった特徴があり、長期資産運用をする上で都合が良いと思います。