個人投資家の資産運用メモ帳 -お金に働いてもらうために

趣味のプログラミングで集めた過去の株価履歴データを使い、投資/資産運用手法について検証してみます。

米国住宅バブル崩壊-リーマンショック(2007年6月~)

リーマンショックの概要

 2007年のアメリカ住宅バブル崩壊をきっかけとして発生した一連の金融危機。住宅バブル崩壊により、住宅価格の上昇を見越して組まれていたサブプライム層への巨額の住宅ローン債権が一斉に債務不履行になり、世界中で信用収縮が発生。

 サブプライム層というのは、優良客よりも下の層という意味であり、ローン返済能力があるか疑わしい層のこと。

 一部の金融機関はこれらの債権を証券化。住宅価格の上昇を背景にリスクが分散されているとして高格付けを獲得し、世界中の投資家に販売。ところが住宅バブルがはじけ、住宅価格が一斉下落したことにより、債務者の多くが債務を返済できなくなった。その結果、商品開発の大前提であった債務者の想定破綻確率を吹き飛ばし、不良債権が大量発生。世界的な金融危機へと発展してしまった。

 名前の由来となったリーマンブラザーズは2008年9月に6000億ドルという空前の負債を抱えて破綻。米国政府は3兆ドル、追加で7000億ドルという巨額の救済政策をとった。

 

 危機前後の日経225平均、スタンダードプアーズ500の資産価格推移のグラフを図に示す。危機はグローバルに拡散。日米株価指数の連動性が非常に高くなっていることが一目でわかる。

 

リーマンショック発生後の株価の動き

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リーマンショック

グラフにおけるそれぞれの資産価値の推移

・月末の終値でのみ評価。

 日足ではない。

・スタンダードプアーズは月々の為替レートで円換算。

 ドル評価ではない。

 

日経225平均

 

2007年6月~2009年2月の1年8か月で58.3%下落

本格的な回復トレンドの開始 2012年11月頃~(5年5か月後)

回復 2015年2月(7年8か月後)

 

スタンダードプアーズ500

 

2007年5月~2009年2月の1年9か月間で61.5%下落

本格的な回復トレンドの開始 2011年10月頃~(4年5か月後)

回復 2014年2月(6年9か月後)

 

アセットアロケーションとは

アセットアロケーションとは

  アセットアロケーションとは、保有する資産の種類を国内/外国の株やREIT、債券、現金(預貯金)などの資産に、どのような割合で資産を配分するのかを決め、その割合で運用を続けることをいいます。

 資産を分散する目的は、主に2つ。

 ・リスクとリターンのバランスをとる

 ・リスク資産固有のリスクを複数のリスク資産に分散する

 

 リスクとリターンのバランスは安全資産(現金や国債MMFなど)とリスク資産(株やREITなど)の割合で調整します(※1)。

 過去50年間の株価の推移を俯瞰すると、10年以上の長期運用では、リスク資産の平均リターンが安全資産の平均リターンを大きく上回っています。

 つまり、10年、20年にわたって長期間運用できるのであればリスク資産の割合が多い方がリターンも大きくなると予想されます。

 一方、リスク資産は、金融危機が発生したときに大きく資産価値が下がり、回復に長い時間を要することがあります。退職金の運用などでは回復までの時間を待つ余裕がない場合もあるでしょう。その場合はリスク資産の保有比率を下げ、リスクの低いポートフォリオで運用します。

 これらの資産別指数の推移については、年代別シミュレーションに掲載したグラフをみるとよくわかると思いますので、ぜひ確認してみてください。。

 長く資産運用していると、必ずいつかは金融危機のようなリスク資産が大きく下落する局面にあいます。資産が適切なリスクコントロールの元運用されていれば、時間とともに資産価値は回復し、あらに増やしていくことができますが、信用取引などを使ってリスクを大きくとりすぎてしまうと、1度の失敗ですべてを失ってしまうこともあります。

 アセットアロケーションは、リスクコントロールに優れた運用戦略であり、長期資産運用において必須の知識であると考えます。

 

※1)名目上の数字は減らないので便宜上現金を「安全資産」とよんでいる。インフレが進むと現金は相対的に価値を失うので、現金=安全ということではない。

 

アセットアロケーションの運用方法

 株やREITなどのリスク資産は相場によって日々価格が変わります。

 このため、運用を続けるうちに相場の変動で資産の配分比率が変わっていきます。

 アセットアロケーションでは、適当な頻度(1か月に1回とか3か月に1回とか定期的、もしくは自分が決めた資産比率からのズレが大きくなったときとか)で資産配分比率を一定に保つ補正操作(証券の売買)をします。

 

 以下、簡単な実例を上げて紹介します。

 例えばリスク資産である株と安全資産である現金を半分ずつで運用すると決めた場合。

 株価が値上がりしたら株の配分比率が50%より大きくなってしまいます。そこで、50%を超えた分の株を売却し、最初に決めた通り株と現金の比率を半分半分にもどします。

 逆に株が下がったら相対的に現金の保有比率が高くなるので、不足する分株を買い増します。

 資産配分を一定にすることにより、リスクを抑えつつ、下がったら買い、上がったら売る、を定期的に繰り返すことになります。

 リスクを少なくしたい場合はリスク資産の割合を減らすことで対応します。

 一定比率の資産を現金で残しておくことにより、リスク資産を安く買って高く売る、リスク資産下落時の余裕をもっておくと同時に、リスク資産の成長とともに自身の資産価値を増やしていくことができます。

 

株と現金を半半で運用する場合

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アセットアロケーションのイメージ

 アセットアロケーションでの資産運用は、長期運用が前提となります。

 日々の株価に一喜一憂する必要はありません。ただし、自身のリスク許容度をしっかり把握し、配分する資産の割合を考える必要はあります。運用をはじめてみたものの自分のリスク許容度が違っていたと判断したときは資産配分の割合を見直します。

 また、長期に成長しそうな国の資産配分の割合を増やす、金融危機のリスクが高まったときはリスク資産の割合を減らす、などの変更をすることもあります。

  平時で順調に資産を増やしているときにはつい、リスク資産を増やしたくなるものです。本当に増やしても大丈夫なのか、、、、ぜひリスク資産保有比率別の運用シミュレーション結果を見て慎重に考えてください。

 

配分先として考える資産の種類について

 アセットアロケーションの運用方法の説明では、説明を簡単にするために、現金と株のみに資産を配分する場合で説明しました。実際には、株、REIT、債券、現金、コモディティ価格連動投信(金や石油など)などの複数の資産に分散して運用することができます。

 また、それぞれの資産について、どの国の資産にするかを選ぶことができます。株でいえば、日本株、米国株はじめ、世界各国の株に投資することができます。REIT、現金、債券についても同様です。

 

どんな資産に配分したら良いか

 どの資産に対してどの割合で配分するか、については、個々人の状況や性格によっても変わります。したがって、1つの正解はないのですが、長期運用する資産の場合、少なくとも

 日本円現金(預貯金または国債)、米国株

には配分すべきです。

 年代別の運用シミュレーションの記事を見ていただくとわかるように、

 

1.長い目で見ると株は現金に対して大きく増える

2.1990年のバブル崩壊を境に米国の成長は日本の成長を圧倒し続けている

3.日本で暮らすのであれば円現金が短期的な資産価格の変動に対するリスクを緩和する

  

からです。

 

 1.については、ここでは詳しく触れませんが、資本主義の経済構造そのものの仕組からそうなるので、短期的な(時には10年以上の)リスクはありますが配分すべきです。

 2.については、2020年現在、規模において米国は世界最大の経済大国であり、成長力においても米国優位の状況が30年継続しています。今後の見通しについて考えると、日本で少子高齢化が進む一方、世界最大の市場である米国では2020年現在も人口が増えており、当面米国優位の傾向は変わらないと考えます。

 最も米国経済の成長と着実に同調するのは、ダウ工業株30種、またはスタンダード・プアーズ500です。構成銘柄の数は30社、500社と違いますが、

 ・どちらも米国を代表する企業で構成されるよう設計されている

 ・どちらもあらゆる業種をカバーするよう設計されている

からです。国の経済成長と株価の推移については、GDPと株価の長期推移の比較に掲載したグラフを見るとよくわかると思います。

 これに対し、NASDAQやNASDAQ100(NASDAQ時価総額上位100社で構成)は、アメリカ新興企業向け市場となります。米国経済全体の指標ではありません。

 米国は新興企業の成長力が強く、1971年設定以降、NASDAQの成長力(リターン)は最も高いですが、短期的な値動きも激しくなっています。

 

どんな銘柄を選んだらよいのか

 「株といっても一体何に投資したらよいのか」と思った方は日経225平均やダウ工業株30種平均、スタンダードプアーズ500など、日米の代表的なインデックス指数に連動した投信やETFに配分すると良いでしょう。

 REITについても同様で、日本国内であればJREIT指数、米国であれば米国REIT指数、グローバルであればスタンダードプアーズREIT指数などがあります。

 

 インデックス指数に連動する投信やETFは、

  ・国内金融機関で買え、管理することができる

  ・個別銘柄のリスクが分散されている

  ・長期的には最も着実に(その国の)経済成長に連動する

  ・運用手数料が安い

   →各種アクティブ投信と比較すると運用成績は長期安定的に上位にくる

  ・選びやく管理もしやすい

といった特徴があり、長期資産運用をする上で都合が良いと思います。

 

 

リスク資産保有比率別の運用シミュレーション

記事の概要

 リスク資産である株の組み入れ比率を変えた資産運用シミュレーションを並べ、それぞれの組み入れ比率で資産価格がどのように推移するか比較してみました。

 

シミュレーションの実施期間は、

(1)2000年1月~2009年12月

 「ITバブル崩壊」、「リーマンショック」と、2回も大きな金融危機が発生

(2)2010年1月~2019年12月

 リーマンショックの後経済が順調に回復

(3)1971年2月~2019年12月

 ドル変動相場以降後から2019年12月までの50年弱

で行ってみました。

 

 長く運用すればするほど、リスク資産の保有比率が高いほどリターンも高くなる傾向にあります。ただし、金融危機が発生すると資産価格の下落もリスク資産の保有比率が高いほど強烈になります。

 まさにハイリスク・ハイリターンとなりますので、ご自身に最適なリスク資産の配分はどの程度なのか判断する際の参考としてください。

 

  グラフの見方、アセットアロケーションの運用条件、運用評価の考え方については、こちらの記事を参考にしてください。

 

 評価はすべて円換算です。米国資産はその時々の為替レートで円に換算されており、ドルベースではないことにご注意ください(円高傾向のときはドル資産のリターンが小さくなり、ドル高傾向の場合はその逆になる)。

myassetの資産配分

 資産における株の配分を10%,30%,50%,70%,90%,100%としたときのそれぞれのケースにおける資産推移をシミュレーションしました。

 株の内訳は、

  ダウ工業株30(米国株) 25%

  ナスダック総合指数(米国株) 25%

  日経225平均(日本株) 50%

でそろえています。

 また、安全資産はすべて円の現金(預金)としています。

 したがって、株の配分が10%のグラフは、以下のような資産構成になっています。

  円現金 90%

  ダウ工業株30(米国株) 2.5%

  ナスダック(米国株) 2.5%

  日経225平均(日本株) 5%

 

■2010年台のシミュレーション

シミュレーション期間 

 2010年1月から2019年12月までの10年間

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 リーマンショックからの復活、東日本大震災アベノミクスなど。

 円安ドル高の進行と株高でnasdaqは円建て換算で5倍に。

 この期間の直後(2020年2月頃)からコロナショックが始まる。

 

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2010年代

 リターンの評価

 株10%: 1.14倍

 株30%: 1.45倍

 株50%: 1.84倍

 株70%: 2.3倍

 株90%: 2.84倍

 株100%: 3.15倍

 

リスクの評価

 株10%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で2.2%下落

 株30%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で6.5%下落

 株50%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で10.9%下落

 株70%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で15.2%下落

 株90%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で19.4%下落

 株100%: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で21.5%下落

 

■2000年台のシミュレーション

シミュレーション期間 

 2000年1月から2009年12月までの10年間

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 ITバブル崩壊、米国同時多発テロリーマンショック

 大きな金融危機が2回到来。

 米国資産はリーマンショック発の円高ドル安と株安のダブルパンチ。

 日経平均もダメ。

 nasdaqはITバブルピーク~リーマンショック底までで75%下落。

 株はもうこりごりといいたくなる10年か。

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2000年代

 リターンの評価

 株10%: 0.97倍

 株30%: 0.91倍

 株50%: 0.83倍

 株70%: 0.75倍

 株90%: 0.67倍

 株100%: 0.63倍

 

リスクの評価

 株10%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で7.7%下落

 株30%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で21.7%下落

 株50%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で34.0%下落

 株70%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で44.6%下落

 株90%: 2000-02-29~2009-02-28の3287日間で54.1%下落

 株100%: 2000-02-29~2009-02-28の3287日間で58.6%下落

 

■約50年間まとめてドン

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1971年2月~2019年12月(約49年)

 リターンの評価

 株10%: 1.42倍

 株30%: 2.76倍

 株50%: 5.05倍

 株70%: 8.75倍

 株90%: 14.32倍

 株100%: 17.92倍

 

リスクの評価

 株10%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で7.7%下落

 株30%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で21.7%下落

 株50%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で34.0%下落

 株70%: 2007-06-30~2009-02-28の609日間で44.6%下落

 株90%: 2000-02-29~2009-02-28の3287日間で54.1%下落

 株100%: 2000-02-29~2009-02-28の3287日間で58.6%下落

■総括

株100%で運用した場合、好調だった2010年代、資産は3倍以上に増えています。

一方で2度も大きな金融危機が訪れた2000年代は37%も下落しています。

 

株の組み入れを10%に抑えて運用した場合、好調だった2010年代は14%のリターン、

不景気だった2000年代は3%の下落にとどまっています。

 

残りはそれぞれ両者の中間の騰落になっています。

 

株100%の運用だとITバブルのピークからリーマンショックの底で9年の間に58.6%も下落し、資産価値が半分以下になっています。

さすがに退職金の運用にはきつそうですね。少なくとも私には。。。

 

1971年2月~2019年12月の49年間の長期で見た場合。

株の組み入れ比率が高ければ高いほどリターンも大きくなっています。

下落時のリスクも大きくなっています。

まさにハイリスク・ハイリターンの結果となっています。

株100%配分のときは49年間で17.92倍。福利の年利回りは平均6%強とかなりのパフォーマンスになっています。

 

この結果を見ての私の所感です。

やはり巷間言われているように、長期で運用するお金には仕事をしてもらった方が良い、すなわちリスク資産を一部は組み入れるべきということなのでしょう。

 

そしてこれも多くの人が言っているように、若くて時間のある人はリスク資産の配分を高めにとっても良いのではないかと思います。

 

 

 

 

年代別の運用シミュレーション

記事の概要

 1971年から2019年までの約50年間について、アセットアロケーションによる運用シミュレーションをしてみました。

 各年代の世相を反映するグラフになっています。ぜひご自身の資産を運用しているつもりでグラフを見てください。

 

 シミュレーショングラフには、資産ポートフォリオを構成する各単独資産の推移も重ねて折れ線グラフ表記しています。それぞれの資産にどのような特徴があるのか、ご自身で分析してみてください。

 

  グラフの見方、アセットアロケーションの運用条件、運用評価の考え方詳細については、こちらの記事を参考にしてください。

 

 評価はすべて円換算です。米国資産はその時々の為替レートで円に換算されており、ドルベースではないことにご注意ください(円高傾向のときはドル資産のリターンが小さくなり、ドル高傾向の場合はその逆になる)。

 

myassetの資産配分

年代別シミュレーショングラフにおける"myasset"の資産配分は、シミュレーションの条件をそろえるため、すべて以下で統一しています。

 円現金(yen): 25%
 米ドル現金(usd): 25%

 ダウ・ジョーンズ工業株30種(dwj)/米国株: 12.5%
 ナスダック総合指数(nasdaq)/米国株: 12.5%

 日経225平均(nh225)/日本株: 25%

※1)このシミュレーションでは、

   ドル/円資産の配分を50%/50%、

   現金/株の資産配分も50%/50%

  にしています。

 

■2010年台のシミュレーション

シミュレーション期間 

 2010年1月から2019年12月までの10年間

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 リーマンショックからの復活、東日本大震災アベノミクスなど。

 円安ドル高の進行と株高でnasdaqは円建て換算で5倍に。

 この期間の直後(2020年2月頃)からコロナショックが始まる。

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2010年代

 リターンの評価

 myasset: 1.9倍

 usd: 1.2倍

 nasdaq: 5.0倍

 dwj: 3.4倍

 nh225: 2.3倍

リスクの評価

 myasset: 2015-05-31~2016-06-30の396日間で14.9%下落

 usd: 2010-04-30~2012-01-31の641日間で18.8%下落

 dwj: 2011-04-30~2011-09-30の153日間で19.2%下落

 nasdaq: 2010-04-30~2010-08-31の123日間で22.9%下落

 nh225: 2015-07-31~2016-06-30の335日間で24.3%下落

■2000年代のシミュレーション

シミュレーション期間 

 2000年1月から2009年12月までの10年間

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 ITバブル崩壊、米国同時多発テロリーマンショック

 大きな金融危機が2回到来。

 米国資産はリーマンショック発の円高ドル安と株安のダブルパンチ。

 日経平均もダメ。

 nasdaqはITバブルピーク~リーマンショック底までで75%下落。

 株はもうこりごりといいたくなる10年か。

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2000年代

 リターンの評価

 myasset: 0.81倍

 usd: 0.87倍

 dwj: 0.82倍

 nasdaq: 0.5倍

 nh225: 0.54倍

リスクの評価

 myasset: 2007-06-30~2009-01-31の581日間で38.1%下落

 usd: 2002-01-31~2009-11-30の2860日間で35.8%下落

 dwj: 2007-05-31~2009-02-28の639日間で58.4%下落

 nasdaq: 2000-02-29~2009-01-31の3259日間で74.3%下落

 nh225: 2000-03-31~2009-02-28の3256日間で62.8%下落

■1990年代のシミュレーション

シミュレーション期間 

 1990年1月から1999年12月までの10年間。

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 日本バブル崩壊阪神淡路大震災円高就職氷河期、米国ITバブル発生。

 日本は失われた10年

 nasdaqはITバブル。円高ドル安なのに円換算で6.9倍に。

 これ、日本は金融政策を間違ってませんかね?

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1990年代

 リターンの評価

 myasset: 1.23倍

 usd: 0.71倍

 dwj: 3.14倍

 nasdaq: 6.92倍

 nh225: 0.51倍

リスクの評価

 myasset: 1990-05-31~1995-06-30の1856日間で26.6%下落

 usd: 1990-04-30~1995-04-30の1826日間で47.1%下落

 dwj: 1990-05-31~1990-10-31の153日間で27.7%下落

 nasdaq: 1990-06-30~1990-10-31の123日間で39.1%下落

 nh225: 1990-01-31~1998-09-30の3164日間で64.0%下落

■1980年代のシミュレーション

シミュレーション期間 

 1980年1月から1989年12月までの10年間。

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 日本、バブル経済謳歌

 1989年末、日経平均最高値を記録。円高が進む。

 1987年ブラックマンデー

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1980年代

 リターンの評価

 myasset: 1.69倍

 usd: 0.6倍

 dwj: 1.89倍

 nasdaq: 1.69倍

 nh225: 5.75倍

リスクの評価

 myasset: 1987-09-30~1987-12-31の92日間で18.5%下落

 usd: 1982-10-31~1987-12-31の1887日間で56.2%下落

 dwj: 1987-07-31~1987-12-31の153日間で39.0%下落

 nasdaq: 1983-06-30~1987-12-31の1645日間で47.5%下落

 nh225: 1987-08-31~1987-12-31の122日間で17.2%下落

■1970年代のシミュレーション

シミュレーション期間 

 1971年2月から1979年12月までの9年弱。

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 ニクソンショック

 ドル円変動相場へ移行。円高ドル安の進展。

 第一次、第二次オイルショック

 当時戦後最長のいざなぎ景気終わるも、日本の経済成長は力強く続いていた。

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1970年代

 リターンの評価

 myasset: 1.17倍

 usd: 0.67倍

 dwj: 0.64倍

 nasdaq: 1.0倍

 nh225: 2.94倍

リスクの評価

 myasset: 1973-01-31~1978-10-31の2099日間で22.0%下落

 usd: 1971-02-28~1978-10-31の2802日間で49.8%下落

 dwj: 1971-04-30~1978-10-31の2741日間で57.7%下落

 nasdaq: 1972-05-31~1974-09-30の852日間で58.9%下落

 nh225: 1973-01-31~1974-10-31の638日間で33.6%下落

■約50年間まとめてドン

シミュレーション期間 

 1971年2月から2019年12月までの49年弱。

 運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 1980年代までは米国と比べて日本経済の成長力が強かったが、1990年代にバブルがはじけて失速し、米国資産優位に。2010年台も米国資産優位の傾向が続いている。

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1971年2月~2019年12月(約49年)

myassetの49年間運用を総括してみる

 リスク資産50%のmyassetは、49年で3.66倍。

 福利の年利回りで表すと2.6%程度と微妙な数字になりました。

 配当収入は計算に入ってない(ただし、配分リバランスのための売買手数料や譲渡益税の支出も入ってない)ので、実際にはもう少し良くなるような気がします。

 (福利の場合はこれが大きなリターンの差になります。。。)

 

 myassetのポートフォリオ金融危機に対し、一定の耐性があることを示してくれたと考えています。

 例えば10年の間に2度の大きな金融危機が訪れた2010年台。日経平均nasdaqの資産価値が半減するなかで、myassetの損失は20%弱に収まっています。この間、ITバブルで大儲けした人もそうでない人も、リスク管理が十分でなかった人の多くは強制退場になったことでしょう。

 

 ちなみに、myassetが最もダメージを受けた経済イベントはリーマンショックでした。最大の下落期間を抽出すると、2007年6月~2009年1月にかけての19か月で38.1%下落しています。

 

 構成資産別のパフォーマンスを見てみると、もっともハイリターンの資産は米国新興市場nasdaq指数でした。円換算で約27倍になりました。これを福利の利回りで表すと50年近くにわたって年平均6.96%と非常に良いパフォーマンスでした。

 ただし、nasdaqは値動きも激しく、ITバブルピーク~リーマンショック底にかけての2000年2月から2009年1月の9年間で74.3%も下落しています。

 

 年代別シミュレーションをみると、1970年台~1980年代は日本資産、1990年台以降は米国資産に多く配分できていれば運用利回りはずいぶんよくなります。また、危機の際に早めにリスク資産の配分を減らすことができた場合も同様のことが言えそうです。

 アセットアロケーションではリスクコントロールのため、むやみに配分を変えるべきではないと考えています。しかしながら、

 ・長期的な経済情勢の見直し

 ・経済危機回避

による配分見直しがリターンに大きく影響することもまた事実です。

 

さて、この記事を書いている2020年4月現在、世の中はコロナ一色です。

 今後はコロナショックの影響で世界の勢力図が変わるのか?

 それとも日本は少子高齢化の進展でこの傾向が続くのか?

 リスク資産の配分はどの程度にしようか?

 それを考えるのはご自身です。

 よく考えて資産配分を決めましょう。

 

おまけ

 この記事でシミュレーションしてきたmyassetは、国内通貨(円)25%、外貨(ドル)25%、国内株式25%、外国(米国)株式25%で構成されています。

 

 この資産配分、何かに似てませんか。

 

 答えは、公的年金積立金の資産配分(2020年4月現在)です。

 公的年金積立金は、通貨の代わりに国債で運用していること、外貨資産は米国だけでなく、他の国の外貨資産も組み入れていること、外国資産については為替ヘッジをしている点などで異なりますが、リスク資産である株式の割合が50%なので、おおむね似たような資産推移になるでしょう。

 

 公的年金はもともと国債などの安全資産メインで運用されてきたのですが、2006年以降、段階的に株式の割合を増やしはじめ、今に至っています。

www.gpif.go.jp

 

 公的年金資産の時価総額は、2018年度末時点で約160兆円とのことです。

www.gpif.go.jp

 

 これだけの資産で運用されていますので、私は株価が下がったときに、、

  「〇兆円の年金資産が泡と消えた!」

みたいな、時価総額の下落額だけ示し、あたかも巨額の金額が失われたかのようなタイトルの記事は煽動記事だと思います。

 しかし、50%のリスク資産への配分が多すぎるかどうかについては意見がわかれるところではないでしょうか。

 

 みなさんはこのブログの年代別のシミュレーションをみて、今の公的年金ポートフォリオについてどう感じますか?

 

 

 

シミュレーショングラフの見方

 このブログでは、過去データを使ったさまざまなパターンの運用シミュレーションについて、資産価値の推移を振り返る記事をたくさん公開していきます。シミュレーション結果はグラフで表示します。

 そこで、2010年1月から2019年12月までの10年間、アセットアロケーションで運用したときの運用シミュレーションを使ってグラフの見方を説明します。

 

■myassetの資産配分

 下のグラフのmyassetの折れ線(黄色の線)は、以下の資産配分で運用したときのリターンの推移を表しています。

また、myassetの資産ポートフォリオを構成する各資産単独のリターンの推移も重ねて折れ線グラフ表記しています。

 

このシミュレーションのmyassetの資産配分は以下のとおりです。

 円現金(yen): 25%
 米ドル現金(usd): 25%

 ダウ・ジョーンズ(dwj)/米国株: 15%
 ナスダック総合指数(nasdaq)/米国株: 10%

 日経225平均(nh225)/日本株: 15%
 ジャスダック(jasdaq):/日本株 10%

※)このシミュレーションでは、

   ドル/円資産の配分を50%/50%、

   現金/株の資産配分も50%/50%

  にしています。

 

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シミュレーション結果

 

 

■グラフの見方について

・グラフは、運用開始時(このグラフでは2010年1月)を1としたときの資産価値の推移を表しています。myasset(黄色の線)が10年で約2倍になっていることがわかるかと思います(※)。

・myassetを構成する各資産の中で最もパフォーマンスが良かったのはNASDAQ総合指数。10年で約5倍になりました。

 

アセットアロケーションの方法

・資産配分のリバランスは、毎月末の相場で(月1回)実施しました。

・米国株については、毎月末の為替相場で円換算しています。

・配当収入は含んでいません。

・資産配分リバランスのための売買手数料/譲渡益税は含んでいません。

 

■運用評価項目について

 資産運用で一番気になるのはリターンということになるかと思いますが、大切な資産を運用するにあたっては、リスク評価が重要です。シミュレーションでは、運用期間内の最大下落率でリスク評価することにしました。

 

 以下にこのアセットアロケーションでの運用期間におけるリターンと運用期間内の最大下落率を記載します。

 

シミュレーション期間 

2010年1月から2019年12月までの10年間

運用期間中の主な経済イベントの年表はこちら

 

 

リターンの評価

 myasset:2.0倍

 usd:1.2倍

 dwj:3.4倍

 nasdaq:5.0倍

 nh225:2.3倍

 jasdaq:3.4倍

 

リスクの評価(※)

 myasset:2010-04-30~2011-09-30の518日間で13.5%下落

 usd: 2010-04-30~2012-01-31の641日間で18.8%下落

 dwj :2011-04-30~2011-09-30の153日間で19.2%下落

 nasdaq:2010-04-30~2010-08-31の123間で22.9%下落

 nh225:2015-07-31~2016-06-30の335日間で24.3%下落

 jasdaq:2018-01-31~2018-12-31の334日間で27.2%下落

 

※)リスク評価における最大下落率の評価は、資産配分をリバランスする毎月末での評価のみです。月中にもっと下げた日もあるのでご注意ください。

 

■コメント

 2010年1月から2019年12月までの期間でmyassetは約2倍になりました。

1000万円ではじめていた場合、資産は約2000万円程度まで増えたこととなります。

この期間いかに好調だったかわかりますね。

 

 一方、2010年4月~2011年9月までの17か月でmyassetは13.5%下落しました。2010年4月に1000万円で投資開始をしていた場合は17か月後に860万円くらいまで資産価格が下落した時期があるということになります。

 

 年代別シミュレーションを見たらよくわかりますが、2010年~2019年はとても好調な10年間でした。つまり、リスク資産の割合を50%とした場合、この程度の資産価格下落は比較的好調な環境下でも普通に起きるということです。

 自身のお金に置き換えてみたとき、このくらいは一時的なことだと気にせずにいられますか?耐えられないと思ったらもう少しリスク資産の比率を下げましょう。

 

 日本株に比べ、米国株が好調でした。

 運用期間の10年間で約20%の円安ドル高になった影響もありますが、これを差し引いたとしても米国株が好調だったといえます。

 

 代表的な株(日経225やダウ・ジョーンズ30)よりも新興市場の株(nasdaqjasdaq)が好調でした。nasdaqは円換算で約5倍にもなっています。

 新興市場の株は軽快に上昇することがある反面、下落も急です。NASDAQの場合、2010-04-30~2010-08-31の4か月で22.9%下落しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブログの紹介

このブログで書いていくこと

  このブログは、過去の実データを使ったさまざまなパターンの資産運用シミュレーションや時系列のデータ推移を調べ、自身の資産運用の参考とするために開設しました。

 投資スタイルは長期資産運用を対象とし、取り扱う投資対象は預貯金(通貨)、日米の株価指数REIT指数、コモディティ(金や石油)などを主に取り上げます。

 また、短期的なチャート分析や個別銘柄のファンダメンタル分析についてはあまり触れない一方で、年代別にリスク資産である株価指数がどう推移したのか、資産に占めるリスク資産の配分比率によって資産価値はどう推移するのか、バブルや金融危機、戦争などの事件で株価指数はどう推移したのか、GDPの成長率とその国の代表的な株価指数の推移の相関はどうなっているのか、日米の株価指数/GDP成長率の推移の長期的傾向、などなど、長期資産運用をする上で重要と考えたデータについて掲載したいと思います。

 

シミュレーションする資産運用の方法について

シミュレーションの目的は、

 ■お金には仕事させるが、

 ■過度なリスクはとらず、

 ■短期的な価格変動には振り回されない

ために、どんな資産にどんな配分で運用したらよいのかを決めることです。

  年代別、リスク資産別、リスク資産保有比率別など、さまざまなパターンでアセットアロケーションによる運用シミュレーションをしましたので、ぜひご自身の資産運用の参考にしてみてください。